尊厳死・安楽死に対する備え

1、安楽死と尊厳死の違い

マスコミでも一般人の認識でも意外と混同されているような気がするので、まず初めにその違いを指摘しておきたい。

1)安楽死→耐えられそうも無い苦痛の為に、命を縮める措置を施す事。

2)尊厳死→痛みや苦痛を取り除き、人間らしい尊厳を保ちながら自然死する事。

2、 安楽死について

自殺幇助機関のひとつ「エグジット」はスイス在住者だけが登録可能で、かかる費用は年会費の約3千円。もうひとつの機関「ディグニタス」は外国人も登録することができ、入会金と諸費用を合わせて安楽死には約70万円が必要だ。

ここでは医療記録を医師が審査し、裁判所が認めた場合で、最後の日まで本人の判断能力がある事という条件付き。

その方法は合法的な自殺ほう助で、厳正な審査を受け合格した人が致死量の薬物(鎮静麻酔薬のペントバルビタールナトリウム)を飲んで自分で死ぬというもの

安楽死する目的でスイスを訪れた「自殺旅行者」が、2008~2012年の5年間で611人に上ると昨年発表した。

アメリカのオレゴン州でも「死ぬ権利」が認められており、結婚して間もない頃に激しい頭痛に襲われるようになったメイナードさんは、1月に余命6か月の宣告を受け、侵攻性のがんで苦痛を伴う死になると告げられ、オレゴン(Oregon)州に夫と共に移り住むと、自らの命を絶つと宣言する動画を公開。これが何百万人ものネットユーザーに視聴され、話題となっていた。その後彼女は安楽死したと報じられている。

欧州12カ国で実施した意識調査では、幇助自殺の合法化に賛成する回答が過半数を占めた。日本ではまだ死がタブー視されているためか?この問題については手つかずのままで放置されている。

相当昔の事であるが、若者の書いた「完全自殺マニュアル」という本があり、私も色々検討してみたが、失敗したらフランク永井のようになったりする可能性もあり、自力で生きられなくなったら、私は体力の残されている間にアメリカへ行き、銃を購入し、口にくわえて自殺しようと考えていた。

然し今では、在宅ホスピス協会の存在を知り、終末期もほとんど苦しませず看取る緩和のプロである医者の存在を知った。日本では上記のような例でも、住み慣れた自宅で尊厳のある死を迎えることが可能であるため、余程の事が無い限り、安楽死を考えなくても良いと思っている。

最近橋田壽賀子さんもこの問題を取り上げている。

しかし、私は袋叩きにされそうな危険を感じるが、あえて、「制限のない死ぬ権利」を認めても良いと考えている。

私事で恐縮であるが、私の母は現在97歳、今サ高住でお世話になっていますが、いつも「もう充分生きたから、これ以上はゆき子(私)に迷惑をかけるだけで、何もしたいこともないし、生き恥をさらしてまで生きて居たくない。もう死にたい。」と会うたびに私に言います。母は病気があるわけでもなく、苦痛があるわけでもありません。

ただもう充分生きたから、そろそろ他人のお世話にならず、あの世へ行きたいと思っています。生まれてくるときは自分の意志は何も働きませんが、せめて自分の人生の幕引き位、自分で決めても良いのではないか?とも思います。

施設に支払う金銭的余裕のない子供は、自宅に親を引き取り、自分も親も追い詰められていきます。子供の人生は破壊されてしまいます。このような現状を考えると、

「死ぬ権利」を認めても良いのではないか?と思うのです。無論キリスト教では自殺は許されないでしょうし、このようなことを言ったら世間からどのように非難されるかわかりませんが、動物は自分で自分のことができなくなったら死ぬしかない現実を認めるべきだと思います。少なくとも私自身は自分の幕引きができる状態であれば、死ぬ権利を行使する覚悟でいます。

3、尊厳死について

在宅で信頼できる緩和ケアに熟達した医者と看護士に看取られ、苦しまないで死ぬことは充分可能である。私はこの18年間、看取りを体験して、尊厳死が充分可能であるとことに確信を持つにいたった。

1、リビング・ウィル

日本には尊厳死協会が出している「リビング・ウィル」というものがある。

これは「自分の命が不治かつ末期であれば、延命措置を施さないでほしい」と宣言したもので、日本尊厳死協会(03-3818-6563)の会員になることで会員証と宣言書のコピーが配布されます。これを医療機関や医師に提示すればリビング・ウィルの意思が受け入れやすくなります。

但し、何処の医療機関でも受け入れてくれるかどうかは疑問である。そのため受容協力医師のお知らせをしています。

また医療相談にも応じています。

会費は正会員→毎年1人2,000円、夫婦で3,000円です。

終身会員→1人70,000円、夫婦で100,000円(一括)

尚いったん収めた会費は返金できないと注意書きがあります。

2、尊厳死宣言公正証書

それであれば一生有効で、しかも法的効果もある尊厳死宣言公正証書(最寄りの公証役場)にするということも選択肢の1つにしてよいと思います。

作成時に家族の了解を取り付けている点で、もめ事が少ないと思われます。

公正証書作成に必要な書類

● 本人の印鑑証明書・実印

● 家族の了解書・印鑑証明書・実印

● 戸籍謄本

● 費用→執務に要した時間が1時間以内であれば11,000円。

公証役場に出等できない場合は、出張の日当が2時間以内であれば1万円。

しかし、これらはあくまでもお願いであってそれが実行されるかどうかは医師次第で、不明です。現に私が看取った胃がん末期で余命2ヶ月と宣告された第1号の患者さんは抗がん剤のあまりの苦しさから「もう少し苦しまないで済む薬に変えていただけませんか?」とお願いしたのに対して、「医師に指図するのか?病院は治療するところだ。四の五の言うなら出ていけ」と本当に追い出されてしまいました。それで夫婦で泣きながら私のところへ飛び込んできたので、情報を取得し、緩和のプロと看護師を見つけ自宅で1年半以上、苦しむことなく、夫婦で毎月旅行して思い出を残し、亡くなる晩は夜中の1:30までよく笑い家族と談笑しながら亡くなりました。

要は心ある緩和のプロである医師に巡り合えるか?いえ率先して緩和のプロで人格的にも優れた医師を探せるかにかかっています

入院してからや事故にあってからでは間に合いません。今からその準備をし、周囲(医療関係者・家族・その他必要な人)に周知しておくことが望まれます。

そうでないと本人の希望を聞いていたにも拘わらず、家族が慌てて救急車を呼んでしまい、本人の希望が踏みにじられてしまうことにもなりかねません。

そして高齢者になったら常時携帯電話を持参しておくことをお勧めします。

私は在宅ホスピス協会の会員なので、そのネットワークを通じて、素晴らしい医師が見つかるまで何人でも探すという努力を怠りませんでした。だって生死がかかっているのですから・・・

日頃からの危機管理がその人の命を左右することを肝に銘じて、今からでも遅くはない、準備できることはして、家族に迷惑をかけないように心がけたいものである。